2012年5月17日木曜日

冷やし菜園はじめました 里芋の育て方


■■■ 里芋の育て方 ■■■

<野菜別栽培方法:里芋>

※中部地方太平洋側(夏:暖地 冬:中間地)基準です。


 <野菜科目> サトイモ科
 <参考価格> 種芋1kg(10個ぐらい)で850円前後
 <栽培適温> 25〜30℃

一般的な野菜では里芋のみと言ってもいいサトイモ科野菜でインド原産。
しかし品種は様々で、大きく分けると3つに分けられます。
 ・子芋だけを食べる子芋専用種
 ・親芋と子芋両方食べられる親子兼用種
 ・親芋だけを食べる親芋専用種
茎部分を食べられる品種もあるけど食べたことがないのでそこは割愛します。
同じ仲間でも地方によって名前が変わったりと種類が豊富。

耐暑性はとても強いが寒さは苦手。
また、家庭菜園向けではあまり多くない多湿を好む野菜です。
田んぼ転換畑の我が家にはとても相性のいい野菜。
里芋の大きな葉は株元を日陰にして乾燥から守る役割もあるんだとか。

1年目は種芋を購入する必要がありますが、2年目以降は自作の種芋を使えます。
それでいて1株辺りの収量は2kg前後(市販品なら1500円くらい?)で数ヶ月保存も可能ととてもお得。
とうもろこしと並んで自作の方が美味しく作れると思う野菜でもあるので是非挑戦してみてください。
ねっこの畑では子芋専用種の「愛知早生」「八名丸」と親子兼用種の「セレベス」を育てています。


連作に弱い野菜です。
3年はサトイモ科を作っていない所で育ててください。
連作すると腐りやすくなります。
とは言ってもサトイモ科はほぼ里芋のみなので、里芋の連作にさえ気をつければok。
→ 野菜科目一覧へ


<適正pH> 5.0〜6.5
2週間前に苦土石灰を少なめに(目安:50g/m2)。
1週間前に元肥を普通に(化成肥料目安:100g/m2)。
酸性土に強めの野菜なので石灰は控えめにします。
あまりアルカリ性に寄せすぎると病気の元にも。
陽当たりの良い場所を選んでください。
また多湿を好み、砂地よりも粘土質の方がいい出来になります。
大きく育つため充分な畝幅も確保してください。


<定植時期> 4月下旬〜5月中旬
<株間> 30cm〜60cm、広い方が収量が増えるため極力広く
1年目は種芋を購入してゴールデンウィーク前後に植え付けることになります。
細長い芋よりもふっくらと丸くふくらんだ芋を選んでください。
2年目以降は自作芋を種芋としますが、切り口に赤い斑点やすじの無い物を選んでください。
赤いすじがある物は後述の乾腐病に感染しているため種芋には使えません。

早い時期からそのまま植え付けて萌芽を待っても育てられますが、萌芽までかなりの日数がかかりその途中で芋が腐ることも珍しくありません。
畝が歯抜けになりスペースも無駄になってしまうため、芽出しをしてから植え付けることをお勧めします。
種芋が3月中旬頃から店頭に並び出すので、それを購入して一ヶ月ほど芽出ししましょう。
芽出しの方法については「その他」の項目で詳しく説明しています。


どの植物の挿し木を取る

↑芽出しをした種芋。
種芋の上から根が生えてるのが特徴的ですね。
もう少し待って葉っぱが完全に開いてからの方がいいかもしれません。
もし1つの芋から芽が複数出る場合は1つに絞って他は掻き取ってください。

畝が用意できたら植え付け前に土を端に寄せて中央を窪ませます。
これは後でかなりの土寄せが必要になるため。
普通に植えると土寄せする土が足りなくなり、山にして無理に土寄せしても雨で流れてしまいます。
その対策で深めの位置に植えておき、苗が育って1回目の土寄せする時に平らになるようにしてあります。

定植用の穴掘り。
株間が広いほど収量も増えるので、できれば60cm間隔を空けたいところです。
種芋の上面から5cm覆土できるぐらいに穴を掘って植えます。
覆土する時は葉になってきてる所には土をかぶせないようにしましょう。
完全に土をかぶせてしまっても伸びてはきますが念のため。
まだ芽が小さい時は覆土を薄めにしておいて後から土寄せします。
小さいからといって浅植えにしてしまうと後の土寄せで苦労するので注意。

植え終わって覆土したら黒マルチをかぶせます。
寒さに弱く多湿を好むので黒マルチはとても有効。
黒マルチ有りと無しでは収量も違ってきます。
是非黒マルチをかけてください。
ただし後から土寄せが数回あるので、写真のように中央を切っておいて両開きできるようにしておくと後が楽です。
↓は定植完了苗。
水滴がいい味出してます。

ちなみに赤芽系の里芋(うちだとセレベスがこれ)は赤い芽が出てきます。
下の写真が赤芽の萌芽したところ。
芽は赤いけど育って葉が開く頃には緑色になってきます。


植え付けが終わってから月に1回ずつ、3〜4回追肥します。
株と株の間に肥料を入れてください。
そして重要なのが水やり。
里芋はとにかく乾燥に弱く、夏の水分量により収量が変わってきます。
梅雨前は土が乾いたらやる程度で構いませんが、梅雨を越えたらマルチをしていても3日に1度くらい水やりしたいところ。
黒マルチをしていない場合は敷藁などの乾燥防止措置が必須です。

・土寄せ
里芋は種芋の上に新芋が広がるため土寄せが重要になります。
忘れずに土寄せをしてください。
1回目は本葉が2枚開いて畝を平らにしても大丈夫なくらい芽が育ってきたら、端に寄せてあった土を平らに。
あとは一ヶ月後に2回目、さらに一ヶ月後に3回目の土寄せをします。
株の根元から円を描くように子芋・孫芋が広がっていくので、ある程度の幅は確保してください。
以降はもし芋が露出してるようなら土をかける程度で。

・脇芽
株元から出てくる葉は親芋から伸びてる葉。
そしてある程度株が育つとその周りから脇芽が出てくるようになります。
これは親芋の周りにできた子芋から出てくる葉です。
子芋専用種の場合は脇芽をそのまま残してください。


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葉が伸びた芋は若干繊維質になって食味が落ちると言われますが、子芋専用種の場合主力となるのは数の多い孫芋。
孫芋を育てるためには子芋の葉も使って光合成させた方が良いってことで残しています。
実際両方で実験してみたところ、脇芽を残した方が収量も増えました。
もちろん葉を伸ばした子芋も問題無く食べられますよ。

親子兼用種の場合は賛否両論分かれるところ。
子芋の数が少ないので脇芽は取り除くって人もいます。
ただ、脇芽は何度も生えてくるので毎回取り除くのは結構な手間。
そのまま伸ばしても繊維質になるのは大差無い気もするし、気分の問題でお好きな方を選んでいいかと。

・敷藁
稲藁がある場合は夏場に株元へ敷いてやってください。
とにかく乾燥に弱い野菜なので藁で乾燥防止をしてやります。
黒マルチをしている場合はマルチで乾燥防止になるけど、今度は地温が上がりすぎて芋がやられてしまいます。
そんな時は黒マルチの上から敷藁。
これでマルチによる雑草防止と乾燥防止をしつつ地温を抑制できます。


<収穫時期> 9月中旬〜11月末
早生種で9月中旬頃から収穫できます。
ただし10月まで待った方が収量は上。
また芋は小さめで量も少なくていいなら8月下旬頃から早採りすることも可能です。
晩生種なら11月まで待ちましょう。
寒さに弱いため霜が降りる前には掘り終える必要があります。

収穫時はまず葉を切り落とします。
マルチや藁を除けたら穴掘り開始。
芋を傷つけないよう注意しながら片側だけ掘ってください。
ある程度掘ったら逆側にスコップを深く入れ、株を掘った穴に転がすように倒せば収穫できます。

↑掘り起こした里芋の塊。
芋のできかたは種芋の上に大きな親芋ができます。
その親芋の周りに子芋が6〜8個ぐらいでしょうか。
そして各子芋に孫芋が3つ前後。
育ちが良ければ孫芋の外にさらにひ孫芋ができています。
長期保存せずに食べるなら掘り起こしてすぐ芋をばらして可。
長期保存する場合は芋を取らずにそのままにします。

上の株で採れた孫芋とひ孫芋。
子芋専用種の場合は孫芋が一番品質が高く数も多い主力になります。
子芋ももちろん食べられるけど、孫芋と比べると若干繊維質?
味噌汁とかに使うといいかもしれません。
実は親芋も調理次第で食べられるらしいですが普通は子芋以下のみ収穫します。

↑おまけで親芋を下から撮った写真。
まだ種芋が残っていました。
これを見ると種芋の上に親芋ができるってのがよく判ります。
しっかり土寄せしないといけないのはこのため。

こちらはセレベスを収穫した写真。
セレベスは赤芽系の里芋なので芋にも赤い部分が目立ちます。
中身は白いですけどね。
親子兼用種なので子芋だけでなく親芋まで食べられるんですよ。


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・芽出し
里芋の種芋はそのままでも使えますが、確実に育てたいなら芽出しをするのが一番。
ということで、ねっこ流の芽出し方法を紹介します。
通常は畑の一部を使って芽出ししますが、水はけの良い空きスペースが無いので室内で芽出ししています。
用意するのは下に水抜き穴を開けられる透明な衣装ケース。
あとは籾殻と園芸土を適当に(1:1〜2:1ぐらい?)ブレンドした土。
籾殻を混ぜるのは持ち運びできるよう土の軽量化と湿度調整のため・・・と言いつつ本音は園芸土にお金かけたくないからですw

水抜きできるようにしたケースに7〜8cm程度ブレンド土を入れ、その上に種芋を並べます。
種芋は芽の出る方向が決まっているので芽の出る側を上にしてください。
芋を切り離した反対側の先端からですが、判りにくいようなら小さな芽がふくらみ始めてから芽出しでok。
間隔が広いほど取り出す時が楽だけど、ある程度詰めても大丈夫です。
種芋を並べたらさらに芋の上面から5cmほど覆土して軽く水やりします。

↑萌芽してきた里芋の芽。
芽が地上に出るまで約一ヶ月。
陽の当たる窓辺など暖かい場所に置いておいてください。
呼吸ができるよう蓋は一部開けておきます。

水やりは種芋の下付近まで乾燥したらやるぐらいであまり必要ありません。
水をやりすぎるとすぐ種芋が腐ります。
透明衣装ケースにしたのはこのためで、横から見れば湿った土の深さがすぐに判ります。

↑植え付けのために種芋を取り出すところ。
ほとんどの種芋からしっかり芽が出てくれました。
このぐらいのサイズになると根もかなり広がっています。
種芋を詰め込みすぎると太い根が絡まって取り出す時がちょっと大変です。
根を切らないように注意してください。

・保存方法
里芋は霜が降りる前に収穫して春まで保存することが可能。
大量生産して野菜の少ない冬場の食費を浮かせたいところです。
しかし寒さに弱い里芋は保存にもちょっとした手間が必要。
農家などでは畑に60cmぐらいの深い穴を掘り、稲藁と一緒に埋めて温度変化から守るそうです。
この時芋をばらしてあると切り口から腐ってしまうので、株ごと掘り出した状態のまま上下をひっくり返して(葉のあった方を下にして)保存します。

しかし水はけが良く、深く掘れる場所を確保できないと難しいですよね。
仕方ないのでうちでは段ボール箱に籾殻を詰めて室内保存しています。
葉を切り落とし芋をばらさないまま数日日陰で乾かします。
上下逆さまにするのは同じで、洗わずに芋の表面に土が少し付いた状態のまま籾殻の中へ。
上からもしっかり籾殻をかけ、あとは内部温度10℃ぐらいをキープします。

種芋に使う物は籾殻段ボールで室内保存ですが、これで全部を保存しようとすると部屋が埋め尽くされてしまいます。
そこで食用の物は室外でドラム缶保存もしています。
ドラム缶に籾殻を詰めて後の要領は同じ。
雨や北風のあたらない場所に置いて、断熱マットとビニールを巻き付けて防寒。
これでほとんど腐ることなく春まで保存できました。


10℃以下にならないよう温度維持が理想ですが、籾殻をたっぷり入れておけばそれなりに耐えてくれます。
まぁ畝に埋まったままでも土と稲藁とビニールをしっかりかけておけばある程度耐えられるんですけどね。
寒さを乗り越えられれば春まで保存可能で、春には新しい種芋として使えます。
自家製種芋のために1株だけでも残しておきたいですね。

・親芋種芋
種芋には通常子芋や孫芋を使いますが、実は親芋を種芋に使うこともできます。
食べずに捨ててしまう親芋を使えるのがメリット、通常より広い畝が必要になるのがデメリット。
子芋とは芽出しの仕方が結構違うので簡単に紹介します。
まず芽の出てくる上側を4分の1ぐらいスパッと切り取ります。
使うのは残した4分の3の方で、頂点の側は破棄。

この後は通常の芽出しと同じように、籾殻のブレンド土に埋めて芽出しします。
草木灰があれば断面に付け、少し乾かしておくと腐り防止になります。
埋める時のポイントは上下逆にすること。
切った断面を下にします。

↑一ヶ月ほど芽出しをした結果。
頂点ではなく側面から芽が複数出てきます。
芽が4つ以上ある場合は、芽と芽の間隔ができるだけ空くように3つに減らします。
あとは通常より広い畝に深めに植えるだけ。
育つと株間を狭めに植えた子芋種芋3株と同じような状態になります。


<害虫>
セスジスズメ、ヨトウムシ、アブラムシ。
葉の裏にアブラムシが集まりやすいので要注意。
そして葉を食害する大半はセスジスズメによるものです。
9cm近くなる大きな黒い芋虫。
黒なので見つけやすいですが放置すると葉を丸坊主にされてしまいます。
→ 害虫図鑑へ

<病気>
乾腐病、モザイク病、軟腐病、黒斑病、汚斑病など。
種芋を選ぶ際に赤いすじなどの症状が出ていない物を選ぶこと。

・乾腐病
上の写真は保存中に乾腐病にかかった里芋。
切り口に赤い斑点や赤い筋が出てきます。
これが初期症状で、この後内部が赤褐色のスポンジ状に腐ってしまいます。
フザリウム菌とやらが原因らしく、感染した種芋を使うと生育途中で芋が腐って枯れてしまうため、赤いすじのある物は種芋として使わないようにしましょう。
芋に赤いすじがあっても食べることはできますがゴリゴリと固く美味しくありません。

・汚斑病
汚斑病にかかった里芋の葉。
保存中の乾腐病と生育中の汚斑病がよく見かける病気だと思います。
葉に円形の病斑ができ、葉が傷んでくる病気。
見た目がいかにも病気って感じで嫌ですが実害はあまりありません。
生育後期ならそのまま放置して収穫まで待ちましょう。

※あくまでねっこ流の育て方です。
プロ農家ではないので間違ってても笑って許してね!

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テーマ : 家庭菜園
ジャンル : 趣味・実用



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