2012年4月28日土曜日

生物多様性に関する移入種・外来種・帰化種編:めざせ!環境エキスパート!


生物多様性に関する移入種・外来種・帰化種編:めざせ!環境エキスパート!

製作:前橋工科大学大学院 阿部 泰宜

生態系に関する1つのキーワードとして、「生物多様性」という言葉があります。
第3回は、その生物多様性について、
「移入種」や「外来種」、「帰化種」などと呼ばれる生物と絡めながらご紹介していきたいと思います。


まず、これら「移入種」などの生物種の一体何が問題となっているのでしょうか?
そもそも、生物多様性を維持していくことにはどのような意味があるのでしょうか?
これらを考えることは非常に重要なことですが、
その前に、まずは、これらについて語る際に知っておきたい事柄をおさえておきましょう。

まず、生物多様性とは、

  • 様々な生物種が存在すること=種の多様性
  • 同一種であっても種内の個体群や遺伝子が異なっていること=遺伝子の多様性
  • それらの種の生息環境が多様であること=生態系の多様性
といった、異なる3つの階層の多様性を意味する包括的な概念となっています。

生物多様性と聞いて最も簡単にイメージしやすいのは、種の多様性についてだと思いますが、
実際には、遺伝子や生態系などの多様性についても言及しています。
さて、種の多様性については理解できるとして、
遺伝子の多様性や、生態系の多様性とは具体的にどのようなことを指しているのでしょうか?

遺伝子レベルの多様性とは、
ある特定の種内の遺伝子情報の変異によって計られる、種内の変異性を表す概念、
とあります。
言葉だけを聞くと、なんだか難しい概念のような気がしてしまいますが、
その概念が分かる簡単な例を、日本におけるゲンジボタルの変異でご紹介しましょう。
日本のゲンジボタルには、東日本型と西日本型という種内の変異が存在します。
東日本のゲンジボタルは、発光間隔が約4秒であるのに対し、
西日本のゲンジボタルでは約2秒と、発光間隔に違いがあります。
その境となっているのは、フォッサマグナの西縁をなしている「糸魚川〜静岡構造線」であると言われていて、
その地形的な特質から、生物を隔離する壁となっているようです。
その境界付近であ� ��、新潟・長野・静岡には発光間隔が約3秒のゲンジボタルなども存在し、
それらのゲンジボタルを他の生息地に持っていっても、発光間隔は同調しません。
このような地域の特性に合わせた変異は、種の分化(亜種の発生)へと進むこともありますが、
現時点では同一種とみなされているため、これは種内の遺伝子情報の多様性と捉えることができます。
このような遺伝子の変異は、メダカでも同様のことがいうことができ、
日本に生息するメダカだけでもその生息地によって、10以上の地方型が存在することが確認されています。
このような遺伝子の多様性は、その生息地に適応した結果生み出せたものであり、
その多様性の低下が進むと、気候や病気に対応できなくなり、絶滅の危険性が高まります� ��

また、生態系の多様性とは、
生物と非生物的要素が作り出す系で、それらが有機的な関係を保つことにより構成された自然システムの多様性
を指すそうです。
またまた、分かりづらい説明です…。
簡単に言えば、海には様々な生物が生息し、淡水の湖にも様々な生物が存在します。
同じように、草原や森林などにも様々な生物が存在します。
つまり、場の環境の違いによって生物種の構成は異なるわけです。
このように、生息場の違いによって構成される生態系の違いを、生態系の多様性と呼んでいます。

生物多様性の概念は、以上にご紹介した3つの階層によって構成されています。


さて、その生物多様性を脅かす存在として、「移入種」に関わる問題が存在します。


ここで、iは、楽園の植物の私の鳥を植えるん

そもそも、生物の生殖本能には、「種を残し、さらには数を増やしていく」という増殖性が備わっていて、
さらには、どの生物もそれを実現可能なだけの能力を備えています。
その結果、自分たちの活動範囲を広げようと種の拡散性を高め、移動を始めます。
ある種の植物が、動物の捕食などによって移動性を持ち、子孫を残す方法を取り始めたのもそのためです。
その方法によって、生物の分布に最も大きな影響を与えたのはヒトです。
人類の歴史はまだ数万年程度ですが、ヒトが他の生物の分布に与えた影響は計り知れません。
ヒトが発生してからのその増殖速度、移動能力の高さが主な要因として挙げられています。
このように、
「ヒトを媒介して活動範囲を広げるという生物の拡散は、その生物が本 来備えている拡散性の一部である」
と、認識されることもあるようです。

さて、このような問題を語る際には、
「移入種問題」や「外来種問題」、「帰化種問題」などといった言葉で語られています。
しかし、これらの言葉の定義が似ていることから、専門家の間でも言葉の認識がいまだ不明瞭で、統一されていません。

辞書を使ってこれらの言葉の意味を確認してみると、
他地域から本来の生息地以外の場所に、人の活動が原因で持ち込まれた生物種を、「移入種」と呼び、
それらの種がその地に定着した場合に、「外来種」や「帰化種」、または「侵入種」などと呼ばれるようです。
しかし、これらの言葉をこうした区分でしっかりと分けて使用すること自体、あまり意味のない行為であることや、
これらの言葉に、人の活動が原因で持ち込まれた生物種のみを指す言葉とするの か、
生物の拡散性も含めて、その地に侵入した要因を問わないものであるかなど、言葉の定義の線引きも考えられていることから、
より一層、使用する言葉の統一化が困難となっているのが現状です。

ここで注意しなければならないのが、国境を越えた生物の移動だけが移入ではないということであり、
国内における生物の移動であっても、移入であるとみなされることです。

つまり、今までに生息していなかったフィールドに新たな生物が入ってきたとしたら、
それはれっきとした「移入」となります。

生物学の研究者である、ニータマ―(Niethammer,1958)は生物の拡散について、
1.受動的拡散
・「風拡散」「水流拡散」「動物拡散」
 =「自然拡散」:人類が誕生する以前の太古より風や水流、動物の捕食などによって行われてきた拡散
・「人拡散」
 =「人為拡散」:人類の誕生以後、地史的にごく新しく行われるようになった拡散
2.能動的拡散
「水中での遊泳」「陸上での徒歩、あるいは這う」「空中での飛翔」
 など自らの運動器官を使って行う拡散
3.複合拡散
1と2の諸要因が複合されて起きる拡散

と、大きく3つにまとめています。
以上に挙げた生物の拡散類型の中で、最も大きな問題となりうるのはやはり人為拡散です。

人為拡散には、
(1)意図的に移入される場合と、(2)物流などによって偶然に運ばれる場合の2種類があります。
ここでは、(1)意図的に移入された種を「搬入種」と呼び、
それを搬入目的・野生化に至るまでの経緯に応じて「移殖種」と「逸出種」に分けることにします。

(1)意図的に移入される場合
「移殖種」
移入した目的は様々ですが、初めから野生化させる目的で移入した生物のことです。
その移入目的として、ある生物種の駆逐の期待や、レジャー目的での移入などがあります。
代表的な生物種として、マングースやカダヤシ、ブラックバスなどが挙げられます。
「逸出種」
観賞用・食用・実験用など、本来ヒトの管理下で飼育される目的で移入された生物が、
逃げ出したり、飼い主が逃がしたりするなどして自然に放された生物のことです。
アライグマやソウギョ、ティラピアなどが逸出種にあたります。

また、(2)物流などによって偶然に運ばれた種を「付着種」と呼びます。
付着種は渡来手段によって、「物付着種」と「生物付着種」の2種に区別されます。

(2)物流などによって偶然に運ばれる場合
「物付着種」
海外から入港してくる船舶や、飛行機などの交通機関自体への付着、
また、輸送貨物の中に紛れ込むなどして移入してくる生物のことです。
船舶自体に付着し、移入してくる生物としてフジツボなどの貝類が挙げられます。
また、貨物に紛れ込んでくる生物として、長期間エサを取らなくても影響の少ない爬虫類や、
木材などに付着しているアリ科の生物がこれにあたります。
「生物付着種」
人が意図的に持ち込んだ生物(搬入種)に付着して持ち込まれる生物のことです。
淡水に生息する貝など、熱帯魚観賞用の水草や砂などに付着して移入した種や、
人体や衣類などに付着し伝播する衛生害虫も生物付着種に含まれま� ��。


大麦はどのように受粉です。

さて、「移入種」や「外来種」などと対をなす言葉に「在来種」という言葉があります。
ここでは、その言葉の定義について考えてみましょう。
辞書を引いてみると、
『他地方の家畜・作物と交配されず、ある地方だけに長年飼育または栽培された品種』
とあります。この定義では「長年」とあるだけなので、
どの程度の期間その地に定着していれば「在来種」で、どの程度期間が短ければ「移入種」なのかは分かりません。
また、国土交通省では「在来種」の定義を、
『自然分布(分散を含む)をしている範囲内に存続する種、亜種又はそれ以下の分類郡』
としています。
この定義に従えば、自然分布であれば在来種と分類し、帰化 してからの年月は関係しません。
しかし、この定義は同時に「拡散の類型」が判明しなければ確定できないということでもあります。
例えば、モンシロチョウの場合、日本に伝播したのは、自身の力及び風の助けを受けて海を渡ってきたという説と、
アブラナ科の野菜の伝来と共に移入したという説が存在しています。
モンシロチョウが日本に渡ってきたのは、今からおよそ400年前とされていますが、
その渡来方法によって、前者ならば「在来種」であって、後者ならば「移入種」ということになります。
「在来種」であるか「移入種」であるかを判断する材料が、「いつ日本に渡ってきたか」ではなく、
「拡散の類型」であるとするならば、遥か昔から日本で親しまれてきた植物、ヨモギやイチョウ 、ウメを始め、
稲作を目的として人の手で持ち込まれたイネなども、移入種であると分類されます。

しかし、この移入種問題を取り上げる時に最も重要なことは、
「拡散の類型」や「帰化してからの年月」という視点から捉えるのではなく、
「帰化した生物が、その地の生態系にどのような影響を及ぼしたか」であることは明白です。

そのため、そのような定義にこだわり、移入種であるか在来種であるかという区分が問題なのではないといえます。


移入種が生態系に及ぼす影響として、
元々そこに生息していたある種の生物だけが捕食されることや、
エサがなくなることによって、食物連鎖のバランスを著しく欠き、ある種の生物の激減や絶滅を招くことなどがあります。
また、食害や寄生虫・病原菌の持込み、遺伝的な汚染などその影響は様々です。

その中において、遺伝子汚染は潜在的で拡散性を持った脅威であるといえます。
紫外線や酸性雨、人工の化学物質によって引き起こされる遺伝子汚染もありますが、
ここでは交雑によって起こり得る遺伝子汚染について詳しくご紹介したいと思います。
「遺伝子汚染」とは、
「地理的に隔離され出会うことのなかった生物同士が、人為的に運ばれ、交雑することによって、
種族間に新たな次世代が形成され、遺伝的な純系が失われてしまうこと」
を言います。 移入種に関わる議題の中では必ず取り立たされる用語で、動物・植物問わずに起こりうる問題です。
ある生物種が、住む土地に適応して進化していくことによって培った機能が遺伝子汚染によって破壊され、
生態系内に病気が蔓延するなど、種が絶滅する危険性が高くなることによって、
生物多様性の概念における「遺伝子の多様性」の喪失につながる問題だと考えられています。
「交雑」とは、異なる種や異なる亜種が、繁殖し雑種を作ることです。
種間の交雑は自然界ではあまり起こりませんが、
亜種間の交雑が進めば、亜種レベルの差異が小さくなり、亜種自体が消滅することなどが知られています。
このような交雑が新しい種の誕生につながるという進化論もありますが、これについてはさらなる検討が� �要だと考えられます。

交雑が可能な生物の例として、
セイヨウオオマルハナバチは、在来種の一種エゾオオマルハナバチとの間に雑種形成することが実験的に確認されています。
また、中国産のタイリクバラタナゴは、在来種のニホンバラタナゴと交雑してしまうため、固有種は現在、絶滅に瀕しています。
さらには、クワガタ種同士や、トノサマガエルとダルマガエル、
ズワイガニとベニズワイガニなどの間の自然交雑も確認されています。
そうして生まれた次世代(交雑種)はハイブリッド種と呼ばれています。

一度進行し始めた遺伝子汚染に歯止めをかけることは非常に難しく、その作業には莫大な資金が必要となります。
しかし、遺伝子汚染は海外からの移入種だけが問題になるわけではなく、
国内の動植物の移動であっても、遺伝子汚染は起こり得ます。
先ほど述べた、ゲンジホタルの地域特性を例に挙げても、
長い年月を経て形成された遺伝子変異を破壊するのは非常に容易なことであるため、
その抑止には正しい知識と倫理観が必要です。

また、「交雑」による遺伝子汚染の原因は外来種だけではありません。
科学技術の発達に伴い、「遺伝子組み換え技術」によって人工的に新たなDNAをもつ、
「人工的な外来種」を生み出すことが可能となったことから、
これらの動植物が、生態系に大きな影響を与えることが懸念されています。


水分がでどれだけ色のマルチイベントですか?

そもそも、なぜ生物多様性を保つことが重要なのでしょうか。
生物多様性を保全することの重要性をよく聞くことはありますが、なぜ重要なのかはあまり聞いたことがありません。
この問いに関して、
「生物多様性を保全することは、自然の豊かさを保つことに繋がるから」
などというフレーズを用いることがありますが、これではあまりにも抽象的過ぎて、的確な答えにはなっていません。
もっと端的に言ってしまえば、ヒトが今後得ることが可能な様々な資源を確保するため
と言ってしまった方がいいと思います。
つまり、結局はヒトのためです。
ヒトが生活していく上で、他種の生物がある1種だけであっても、生活に困らないのであれば、
こんな生物多様性など� ��いったことが問題となることはありません。
しかし、現在、ヒトは数え切れないほどの種の生物を食料としたり、衣料や薬品の原材料としてます。
それらの種がいなくなってしまうと、そういった様々な資源を得ることが出来なくなってしまいます。
また、現時点ではヒトに資源として利用されていない種であっても、今後資源として活用される可能性があるかぎり、
将来的な資源を、今生きている私たちが奪ってしまってもいいという権利はありません。
そして、どういった種であっても生態系の中においての役割をもち、それぞれが連鎖的な関係を築いているため、
その種が絶滅してしまうと、その影響によって周囲の種も絶滅してしまう危険性があります。
特に、「キーストーン種」と呼ばれる絶滅の影響 が非常に大きい種においては、
生態系内の多種の連鎖的な絶滅を招く可能性があるため、それらの保全は必要不可欠です。

アオカビから世界初の抗生物質ペニシリンが発見されたことと同じように、
地球上にはいまだ様々な資源が眠っていて、それらがいつか不治の病の特効薬となる可能性もあります。
しかし、その資源を生産する生物種が今、絶滅の危機に曝されているとしたら…。
こう考えてもらえれば、生物多様性保全の意義が少し理解しやすいかもしれません。


生物多様性の保全に関する取り組みには、どのようなものがあるのでしょうか。

まず、国際的な条約である、生物多様性条約が挙げられます。
この条約は、地球上全ての生物と生態系のタイプを保全することを謳った条約で、
(1)生物多様性の保全
(2)その構成要素の持続可能な利用
(3)遺伝資源の利用から生ずる利益が、遺伝資源の保有国・利用国間で公正に配分されること
という3つの目的を掲げ、それらを締約国に求めています。
1993年12月に発行し、日本は1993年5月に18番目の締約国として条約を受諾しています。
2006年2月時点では、188ヶ国が加盟しています。

この生物多様性条約に基づいて、日本では1995年10月に生物多様性国家戦略が制定されています。
この国家戦略では、条約を実施していく上で必要となるわが国での基本方針、
また、原生自然地域だけでなく、都市や農村地域を含めたそれぞれの場における
生物多様性保全のための施策の展開方向が示されています。
2002年3月に全面的に改定され、「新・生物多様性国家戦略」が策定されており、
今後の日本の生物多様性政策は、それに基づき実施されることになります。

また、絶滅の恐れのある野生生物を保護するため、
(1)死体などを含むそれらの「個体」
(2)象牙など個体の「一部」
(3)ワニ皮のバッグのような「加工品」
などの国際取引を規制するための条約として、ワシントン条約が存在します。
1975年に発行し、日本は1980年に加入しています。
この条約を実効性あるものにするための国内法として、
種の保存法(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)があります。
この法律は、指定された絶滅危惧種の捕獲・譲渡等の規制・及び生息地等保護のための規制や
保護増殖事業の実施など、多岐にわたる内容を含んでいますが、
この法律によって指定された絶滅危惧種と、レッドデータブックに記載されている野生生物種の数と比較すると、
圧倒的に後者の種数が多く、まだまだ本法の活用がされていないのが現状です。

また、先に取り上げた、遺伝子組換えなどのバイオテクノロジーによって改変された生物(LMO/GMO)の、
移送、取り扱い、利用の手続き等に関しては、カルタヘナ議定書が採択されています。
この議定書は、遺伝子組換え生物の輸出入(人間用の医薬品を除く)に関して、
(1)栽培用種子など環境に放出されるものについては遺伝子組換え生物と明記し、輸入国の合意が必要であること
(2)食用・飼料用・加工用の作物については、開発国・利用国はバイオセーフティに関する情報交換機構(BCH)に
  通報する義務を負い、輸入国が求めれば(1)と同様の合意手続きが適用されること
などが主な内容となっています。
2004年2月19日に発効し、2006年2月時点で、132の国及び地域が批准・締結しています。


様々な生物種の種子や遺伝子を確保していくことは、生物多様性を保全していく上で非常に重要なことですが、
それらの種の生息環境が悪化し、生息が困難であると認められた場合に、
これらを補完するのがジーンバンク(遺伝子銀行)です。
種子を補完する場合には、シードバンクなどとも呼ばれます。
FAO(国連食糧農業機関)などの国連機関のプロジェクトで、農林水産省の関係機関の下、
生物遺伝資源の総合的な収集・管理・提供を行い、
農林水産業や食品産業等の技術開発の発展に資することとしています。
基本的には、全ての種の遺伝子資源を確保することを目標としていますが、
現実問題として、すぐに生物の収集や保存を行なっていくことは不可能であるため、
選定� ��準を設けて確保を行なっています。

そして、先にも述べた移入種の対策として、
2004年6月2日に制定され2005年6月から施行した、特定外来生物被害防止法(外来生物法)が存在します。
この法律の目的は、特定外来生物による生態系、人の生命・身体、農林水産業への被害を防止し、
生物の多様性の確保、人の生命・身体の保護、農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、
国民生活の安定向上に資することであり、そのために、問題を引き起こす海外起源の外来生物を特定外来生物として指定し、
その飼養、栽培、保管、運搬、輸入といった取扱いを規制し、特定外来生物の防除等を行うこととしています。
特定外来生物に指定されたものについては、以下の項目について規制されています。


  • 飼育、譲渡し、販売、栽培、保管及び運搬することの原則禁止
  • 輸入することの原則禁止
  • 野外へ放つ、植える及びまくことの禁止
違反した場合、法人は1億円以下の罰金、個人は3年以下の懲役か300万円以下の罰金が科せられます。
特定外来生物の選考基準は、
「固有生物の捕食・競合・遺伝子攪乱等の生態被害、
 噛みつき・毒などによる人の生命・身体への被害、
 農作物の食害等の農林水産業への被害を及ぼす侵略的な外来生物」
となっており、2006年9月までに指定されている生物種を次表のとおりです。
哺乳類 ハリネズミ属全種、タイワンザル、カニクイザル、アカゲザル、クリハラリス、
タイリクモモンガのうちエゾモモンガ以外の種、トウブハイイロリス、キタリスのうちエゾリス以外の種、
マスクラット、アライグマ、カニクイアライグマ、アメリカミンク、ジャワマングース、
トウブハイイロリス、ヌートリア、フクロギツネ、アキシスジカ属全種、
シカ属に属する種のうちホンシュウジカ、ケラマジカ、マゲシカ、キュウシュウジカ、
ツシマジカ、シフゾウ、ヤクシカ及びエゾシカ以外の種ダマ属(ダマシカ属)全種、キョン
鳥類 ガビチョウ、カオグロガビチョウ、カオジロガビチョウ、ソウシチョウ
爬虫類 カミツキガメ、グリーンアノール、ブラウンアノール、ミナミオオガシラ、タイワンスジオ、タイワンハブ
両生類 オオヒキガエル、キューバズツキガエル、コキーコヤスガエル、ウシガエル、シロアゴガエル
魚類 ノーザンパイク、マスキーパイク、カダヤシ、オオクチバス、コクチバス、ブルーギル、ホワイトバス、
ストライプトバス、ヨーロピアンパーチ、パイクパーチ、ケツギョ、コウライケツギョ、
チャネルキャットフィッシュ
昆虫類 テナガコガネ属に属する種のうちヤンバルテナガコガネ以外の種、ヒアリ、アカカミアリ、
アルゼンチンアリ、コカミアリ
クモ・サソリ類 ゴケグモ属の4種、イトグモ属の3種、ジョウゴグモ科の2属全種、キョクトウサソリ科全種
甲殻類 ザリガニ科アスタクス属全種、ウチダザリガニ、ラスティークレイフィッシュ、
ミナミザリガニ科ケラクス属全種、モクズガニ属に属する種のうちモクズガニ以外の種
軟体動物等 カワヒバリガイ属全種、クワッガガイ、カワホトトギスガイ、ヤマヒタチオビ、
ニューギニアヤリガタリクウズムシ
植物 ナガエツルノゲイトウ、ブラジルチドメグサ、ボタンウキクサ、アカウキクサ科アゾルラ・クリスタタ、
オオキンケイギク、ミズヒマワリ、オオハンゴンソウ、ナルトサワギク、アレチウリ、オオフサモ、
イネ科スパルティナ・アングリカ、オオカワヂシャ

移入種はこれからも確実に増え続けます。
法律や規制だけではそれらを完全に阻止することは不可能です。
そのため、生物多様性を保全していくためには、移入種が生態系にどのような影響を及ぼすかを調査し、
その結果を基に行動を起こすなどといった、「環境を管理する行動」が必要になってきます。
しかし、それらの問題の多くは元々ヒトに起因するものだということも忘れず、
まずは、正しい知識と倫理観を身につけることが、我々に課せられた義務であると言えます。

参考資料:
環境を守る最新知識 ビオトープネットワーク−自然生態系のしくみとその守り方− 財団法人日本生態系協会 編著
環境省HP
EICネット:環境情報案内・交流サイト



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